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別所温泉・前田・上田市内

情緒漂う歴史の湯街
古に思いを馳せつつ信州の鎌倉をマイペースで歩く


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塩田平は、信州観光の中ではちょっと目立たない存在かもしれません。観光地慣れしてしまったあなたにとってここは、物足りないことがたくさんあるでしょう。たとえばにぎやかなお土産屋さん。それから、しゃれたレストランに小物屋さん。しかし、そんなもののないことがいかに豊かであることか、きっとすぐに気づくはずです。
塩田平のある上田市は、長野県の東、千曲川段丘域に位置する人口16万人余りの地方都市。現在は上信越自動車道や新幹線が整備され、信州においても特に発展の著しい町です。しかしそんな中で、土地の風土は、真田一族の残した歴史や近代の農民美術などの文化を大切に温め、自然に調和しつつ古いままの良さを失なってません。これが上田城に象徴される当地の最大の特徴であり魅力でしょうか。
今号で特集の塩田平は、上田盆地南西部にあります。千曲川と独鈷山の間に広がる平坦地で、わずかに北に傾斜しています。あたりには、6~8世紀の古墳が確認され、生島足島神社、塩野神社といった古代から続く社が今なお地域から信仰を集めています。さらに、古代北国街道や官道の東山道がここを通過していたことなどから、塩田平が古代から政治や交通の要衝であったことが判断されます。塩田平一帯はその後、塩田北条氏に支配され、「信州の鎌倉」の名の由来となりました。さらに当地は時代とともに支配者が入れ替わり、やがて天正11年(1583)上田城築城に着手した真田昌幸が次第にこの地を治めるようになっていったのです。
真田氏はこの地域で大いに人心を集めました。盛んだった養蚕に目をつけ、上田紬の生産を地域に根付かせました。土地の特色を生かした産業は栄え、やがて上田紬は、結城紬、大島紬とともに日本三大紬と賞されるようになりました。また、塩田平西部には、平安時代の「枕草子」に七久里の湯として登場した山のいで湯があります。標高600mの夫神山、女神山の山麓に湧く別所温泉です。温泉旅館だけでなく、公共の入浴施設も利用されています。別所温泉からは信濃デッサン館や前山寺のある前山まで、山麓を縫うように散策路があります。案内板も整備され、初めてでもマップ片手に塩田の自然や寺院、美術館巡りを楽しめます。ローカル電車の別所線で上田に出てみるのもいいでしょう。片道30分余りのちょっとした電車旅行です。塩田は土地も人もマイペースで豊かな土地柄を表しています。俗化しない別所温泉もマイペースを貫いているからでしょうか。
あなたもマイペースで塩田平を歩いてみませんか。

別所温泉

別所線の終着駅、上田市西部にある温泉。歴史は古く、平安時代に清少納言が書いた『枕草子』には「七久里の湯」と書かれている。川端康成、北原白秋、有島武郎など近現代の文人もこの地を好み訪れた。

北向観音

参道、建物ともに北を向いているのは、長野市の善光寺と向かい合うように建てられたためだとか。だから善光寺と合わせてお参りするとよりご利益が高いそうだ。境内には「愛染かつら」と呼ばれる桂の巨木があり、縁結びの霊木として親しまれている。田中絹代、上原謙で人気の「愛染かつら」は、この木にヒントを得て作られたといわれる。

住所/上田市別所温泉1666
TEL.0268-38-2023

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▲縁結びを祈願する人々の姿が絶えない参道

おお西別所支店

上田市内で評判の高いそば店「手打百藝おお西」の別所支店で、昨年春にできたばかり。そばはおお西らしい独創性と確実さを併せ持った異彩を放つうまさ。とくに鍛え抜かれた職人技でしか打つことのできない十割更科が看板商品のひとつ。

営業時間/11時~19時00分/不定休
住所/長野県上田市別所温泉1394
TEL.0268-39-0577

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▲おお西が製法を開発した発芽そば。もちろん他店で食べることはできない。

長谷川豆腐店

上田地方で「あおばづ」というと青い大豆の一種のこと。この豆を使用したとうふが当店の人気者。旨味が格別にあるのにすっきりとして渋さひとつ感じさせない。このおいしさはなかなかほかでは巡り合えない。青豆豆腐525円。

営業時間/8時~16時頃まで/月曜休
住所/長野県上田市別所温泉1719の1
TEL.0268-38-2137

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▲一見してわかりにくいがわずかに青みがかった青まめ豆腐

安楽寺

鎌倉中期にすでに禅寺として確立していた安楽寺は、北条氏の庇護のもと栄えた。ひっそりとした山林の中に広がる境内は、信州最古の禅寺としていまなお往時のたたずまいを色濃く伝えている。

料金/大人300円・小中学生100円(団体割引20名様以上240円)
住所/上田市別所温泉2361
TEL.0268-38-2062

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別所温泉駅

上田電鉄が運営する別所線は、上田駅と別所温泉をつなぐ駅数15の地方小鉄道だ。かつては車輌に丸い窓があったため、丸窓電車の愛称が定着した。熱狂的鉄道ファンの支持も熱い。

お問い合わせ/長野県上田市上田交通グループ お客様相談係
TEL.0268-22-3330

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▲モハ5250型は現在別所温泉駅に保存されている。

野倉夫婦道祖神

別所温泉からわずか尾根一筋南に越えた先にある野倉地域は、美ヶ原の台地を遠望する山間の集落。山襞に守られた自然の地形は、南斜しのどかな風景がつづく。その中ほどに野倉夫婦道祖神がある。四季の花々に囲まれた自然石の道祖神で、特徴はなんといっても前面に彫られた夫婦道祖神の姿の仲むつまじさだ。周囲の風土にとけ込み、訪れたものを豊かな気持ちにさせる。

お問い合わせ/上田市観光課
TEL.0268-22-4100

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▲付近には延命水がこんこんと湧く

前山

信州の鎌倉と称される塩田平は信州東部上田市の西側に位置し、独鈷山、夫神山、女神山、大明神岳を仰ぎ見るなだらかな傾斜地には200に及ぶ池が点在し、その中に奈良・鎌倉時代の史跡が数多く残る。歴史情緒豊かな地には、現在なお近代的な建造物は控えられ、古木を懐かしむに絶好の環境が整っている。

前山寺

信州の鎌倉と呼ばれ、上田まで一望する傾斜地にある。鎌倉時代には塩田北条氏の居城であった塩田城の鬼門としての役目も果たしたといわれる。境内の重文三重塔は室町時代末期に建てられたもので、未完成の完成塔と賞される。2層目、3層目には窓、欄干が施される準備がしてあるだけだ。
それにも関わらず不自然さがなく、周囲とも調和して堂々たる容姿だ。

料金/100円
住所/長野県上田市前山300
TEL.0268-38-2855

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▲前山寺のくるみおはぎ700円(要予約)

無言館と信濃デッサン館

第二次世界大戦中に命を落とした画学生たちの遺作のみを収録する美術館。愛用の品々も展示され、訪れる人たちは時を越えてそれぞれの思いを寄せている。姉妹館の信濃デッサン館は村山槐多の作品など収蔵。夏までの予定で改装につき現在は休館中。

料金/入館料随意制(500~1000円)
営業時間/9時~17時(7月~9月は18時まで)無休
住所/長野県上田市古安曽3462
TEL.0268-37-1650

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▲個性ある建物。当館の意義を語りかけてくるよう。

藤本

真田織上田紬に現代工芸感覚を味付けしたおしゃれな織物製品をたのしめる。上田紬は真田昌幸が民に生産を奨励したとも伝わる当地の伝統工芸品。店内では織物の実演が行われたり、当店オリジナルの衣類、小物が展示販売されている。また、喫茶コーナーが併設されているのもうれしい。

営業時間/10時~16時 無休(12~3月木曜休)
住所/上田市前山前山寺脇
TEL.0268-38-7660

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▲日本三大紬のひとつに数えられる上田紬だ。

龍光院

曹洞宗の寺で、塩田北条氏の菩提寺とされている。また鎌倉建長寺の末寺として創建とも伝えられる。境内では山菜料理を1600円と2000円の二種類から選んで精進料理としていただくことができる。なお要予約で冬季は休業。

住所/長野県上田市前山553
TEL.0268-38-256

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▲独鈷山(1266m)の北麓にあり塩田城址も至近の龍光院

塩野神社

道路脇に「流鏑馬(やぶさめ)」の的が再現してあるのに気づいたら、そこが塩野神社の参道。塩野神社は、約一千年前の書「延喜式」にも出てくる由緒ある社だ。杉並木の参道を歩き、突き当たりにある太鼓橋の先に拝殿がある。これは勅使殿で、楼閣造りという数少ない様式で建てられている。

住所/長野県上田市前山
TEL.0268-22-4100(上田市観光課)

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上田市内

上田市は、奈良時代に信濃国分寺のおかれた歴史ある地方都市である。古くから交通、治世の要衝で、戦国時代にこの地を治めた真田氏は、ここに居城を築くと信州はもとより全国にその名を馳せた。また、北国街道の面影を残す町は、千曲川段丘に広がり、東に根子岳、湯の丸高原、浅間山の自然を間近に親しむことができる。

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ロケ地探索

上田は80余年前から映画のロケが行われてきました。そして、数々の名作が上田から誕生しています。今でも年間百本余の映画、テレビドラマなどが撮影され、市内のいたるところが、いつか、どこかで観たあの場面です。

お問い合わせ/信州上田フィルムコミッション
TEL.0268-23-5408(上田市役所観光課)

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上田城跡公園


上田城は伊勢崎城、尼ヶ淵城、松尾城の異名を持つ城。戦国時代に真田氏が築いたもので、徳川勢力との二度に渡る戦いの場ともなった。公園内には上田市立博物館と山本鼎記念館があり、上田藩関係資料や、山本鼎と農民美術について学ぶことができる。

お問い合わせ/上田市観光課
TEL.0268-22-4100

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▲天正11年(1583年)真田昌幸が築いた城は公園として親しまれている。

石井鶴三美術館

上田城跡公園の彫刻家石井鶴三の作品を収蔵する美術館。教育者でもあった石井鶴三の偉業を伝えるべく地元の教育会が創立100年の記念事業として開館した。50点余りの彫刻作品や水彩、油彩画などが展示され、シンプルかつ濃厚な美を堪能できる。

料金/大人300円・小中100円
営業時間/10時~16時30分
定休日/月曜・祝日の翌日・年末年始
住所/長野県上田市大手2の8の2
TEL.0268-24-9620

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▲美術館の建物は大正時代の建築物で、館内の作品とも調和がとれている。

池波正太郎 真田太平記館

池波正太郎は、直木賞受賞作家で、信州の風土をこよなく愛し、真田氏に傾注しこれにまつわる多くの作品を残した。館内では、真田氏の活躍を主軸にして「真田太平記」の登場人物や池波正太郎氏の愛用品などを紹介する。※上田市立博物館、山本鼎記念館、上田城櫓、信濃国分寺資料館共通観覧券があり大人一人500円。

料金/大人300円 高大200円 小中100円
営業時間/10時~18時(入館17時30分まで)
定休日/水曜(水曜日が祝日の場合は開館)、祝日の翌日、年末年始休(8~10月無休)
住所/長野県上田市中央3の7の3
TEL.0268-28-7100

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▲館内では戦国歴史ロマンにどっぷりと身を浸したい。

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