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キビタキ

今回は夏の山を代表する小鳥、キビタキです。
春には、桜前線を追うようにはるか南方、マレー半島、インドネシア周辺より飛来し、子育てを終えた秋には紅葉に追われるように南へ旅立ちます。
♂は鮮やかな腹と眉斑の黄色と黒のコントラストが美しくよく目立ちます。一方、♀はほぼ全身オリーブ色を帯び、白い部分がほとんどない程度で、一瞬で他のヒタキ類の♀と識別するのは困難です。
英名では"Yellow Flycatcher"と呼ばれるのですが、その名前が示すように、空中をフワフワと飛ぶ昆虫"フライ"(フライフィッシングのフライ)を捕食します。樹木の中層から上層の枝でさえずり、飛び立っては空中で虫を捕まえすぐ枝に戻る、という、他の Flycatcher の仲間(オオルリやコサメビタキなど)と同じような動作を繰り返します。この動作を見ると、英名の由来がよく分かります。
一方、和名の"ヒタキ"は、かちかちと火打ち石を鳴らすような声を出す所からきているようです。俗に"ヒタキ"と呼ばれるものには"ノビタキ"や"ルリビタキ"もあるのですが、実は今回の"キビタキ"とは別の類とされています。これらは声の特徴として確かに似ている部分はあるのですが、分類上は"ヒタキ科小型ツグミ類"とされています。一方で、"キビタキ"や、"コサメビタキ"などは"ヒタキ科ヒタキ類"と別のグループに分類されています。この分類は、名前から想像すると混乱するのですが、彼らの行動や習性を見ていると"なるほどな"と納得させられます。
一般的に、広葉樹林を好む、とされていますが、餌となる昆虫が捕食できるなら、多少林相が異なっても適応できるようで、タウン内でも蚊柱のたつような環境、水辺、沢の周辺では比較的広範囲に見る事が出来ます。決して数が多いという訳ではありませんし、特に繁殖期はテリトリーを確保し他の個体を排除しますので簡単に見られるという事でもないのですが、ビッグウィークからホテル、テニスコートやバーベキューガーデン周辺などの、比較的身近なタウン内のセンター地区でも見られる事がありますので、お時間の空いたような時には、是非、のんびりと探してみて下さい。
他の鳥と同様、雛が巣立つ7月下旬~8月上旬頃にはさえずる事を止めてしまいます。いましばらくの間、夏の美声を楽しむ事にしましょう。

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姿の特徴/♂の目の上の眉斑はくっきり黄色く、喉はオレンジ色を帯びる。腹と腰は黄色い。羽と頭部から背中は黒く、翼の白い斑が目立つ。
声の特徴/比較的ゆったりとした数種類の調子で美しくさえずる。
好む環境/山地の広葉樹のある渓流や沢の近く。樹木の中層から上層。
見られる時期/4月下旬、5月上旬~10月頃

写真&文:飛田伸一郎

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