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温泉新聞

「本沢温泉」八岳木流泉

 蓼科を訪れること二十余年。蓼科山に始まり、天狗岳や横岳、中央アルプスなど、登った山は数知れず。そんな中、ここ三年の間に三度登った山がある。その山こそ、南八ヶ岳の一角を占め、爆裂火口が印象的な「硫黄岳」。とはいうものの、山頂に立つことは多くなく、中腹の山小屋へ身を置いては下界に戻るの繰り返し。では、その山小屋に何があるのか。答えを先に言えば、そこには温泉が湧いている。日本一の露天風呂を誇る「本沢温泉」が。そこで今回は登山で行く「本沢温泉」に旅の舞台を設定。楽しい山歩きと、神秘の名湯へ、今こそ足を向けてみよう。
 「本沢温泉」へのアプローチは三種類。夏沢峠から硫黄岳を越えるルートと、稲子湯旅館から入るルート。そして正攻法、本沢入口から入るルートだ。その内、私は専ら、道程が美しい本沢入口ルートを用いている。車を本沢入口に置き、にわかに始まる登山道。四駆車はさらに先へ進めるが、ここから続く林道こそ、四季を感じる一番のポイント。夏は濃緑、秋は紅葉。風吹けば熊笹がサラサラと揺れ、鹿やトンビの鳴き声も辺りに響く。登山の妙を味わいつつ、是非とも歩いて頂きたい。
 入口から30分ほど登ると、全車行き止まりの「本沢ゲート」が見えてくる。そこから先は、四囲を覆う手付かずの原生林。ヒカリゴケ等も群生し、緑の風合いが色濃く映る。休憩ポイントの「富士見平」や「ハゲ山」を過ぎ、「みどり池」への分岐が見えれば、目的地へは10分ほど。一歩進むごとに山小屋が近づく最高の10分間だ。
 入浴料を払い、早速、山小屋から約5分登った場所に湧く露天風呂へ。露天風呂は、ガレ場と果てた崖の中腹に設えられる簡素なもの。脱衣所や備品も無く、浴槽は一つのみの混浴形式。掛け流される硫黄泉にのんびり浸かり、何気なく眼下を見ると、針葉樹の隙間を雲の波が流れてゆく。思えばここは標高2150メートルに湧く「雲上の湯」。味わい深い内湯も良いが、日本最高所で湧く絶景の露天にこそ本沢温泉の楽しみは存在しよう。
 通年営業の温泉付き山小屋としては最高所にある本沢温泉。片道2時間余りの道程は短くないが、険しさもそれほど感じない。冬を迎えるこれからの季節、終わり近づき、懸命に燃える紅葉と、白銀煌めく雪原が我々を待つ。最初の一歩を踏み出す足が、ゴールの歓びに触れた時、多くの方は気付くだろう。頂で見る秀景と、そこに湧き出る名湯の魅力に。

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「本沢温泉」
TEL:0266-72-3260
■立寄り入浴:日の出〜日の入(要確認)
料金:内湯800円/露天600円