Diary 蓼科便り

大人が背負う夜明け前の陰

皆様こんにちは。

本日は2月25日、2026年慌ただしく開幕した2026年も早2か月が経とうとしている本日…。

いやはや、月日が過ぎるのは早いもので、光陰矢の如しとはよく言ったものでございます。

蓼科はここの所氷点下の日が無いうえに、本日は雨。

気温は暖かく、春の兆しを早くも感じるここ数日でございます。

 

さて、

光陰矢の如し…とよく使うフレーズですが、

光陰、光と影、表裏一対の時の流れに例えた文言ですね。

この光と影について、最近少し考えさせられたことがございましたので、今回はそちらを徒然と…。

 

皆様は島崎藤村をご存知でしょうか。

明治5年に中山道馬籠で生まれた稀代の詩人小説家ですね。

皆さんが島崎藤村に触れるのは国語の教科書に出てくる抒情詩「椰子の実」でしょうか。
ささやかなほんの数行の詩の中に郷愁と哀愁がジワリと胸に響く素晴らしい抒情詩でしたよね。

そんなほんの数行の抒情詩にふれて、島崎藤村の名前は私の中ではかなり深く刻まれ、今に至るわけですが…、

そんな島崎藤村、先に触れた通り、実は信州、中山道で生を受けた詩人、小説家です。
代表作は「椰子の実」以外にもあまたありまして、その中でも今回ふと心の琴線に触れた作品はずばり

「夜明け前」

明治維新の動乱期を一人の村人の生涯を通して描き出す秀逸な小説。

主人公は馬籠宿で庄屋、問屋、本陣の管理を務める青木半蔵。実はこの青木半蔵は島崎藤村の父親、島崎春樹をモデルとしており、
まさに明治維新の動乱期を生きた主人公青木そのものの人生を送った父春樹の生き方や思想を、
その当時は理解できなかった藤村が改めて小説として描くなかで、父の背中を見つめ直している小説と言われております。

小説の中で、主人公の青木は明治維新を暑い期待と共に迎えますが、青木の期待は時代の変革という強い光に裏切られ、
様々なものを失い、失意の中で悲劇的な最期を遂げてしまいます…。
非常に残酷な影を描き切った悲しく胸が苦しくなる物語でございます。

我々は過去や現在の歴史的転換点に触れる時、その大きな事象の流れと結果を見つめ評価を下します。

それは当たり前のこと。

ですが、その歴史の奔流のなかで、失われる伝統や価値観、
取り残され引き裂かれる人々の生活や文化があるのだという事を、この夜明け前という小説は語りかけてきます。

黒船来航から明治維新という歴史上の巨大な大波のなかで、
新たに訪れたた光の裏に教科書には載っていない暗い影があったのだという事を感じる事の出来る素晴らしい文学作品です。

 

日本、或いは自分の置かれている環境が今まさに大きな軋む音を立てながら、
その帆先を徐々に変えていこうとするこの時にこそ、読むべき一冊と申し上げてよいでしょう。

 

「夜明け前」が一番暗い。

いえいえ、それだけじゃないのです。

夜明けの光こそ、その影を最も長く濃く描き出すものなのです。

 

さてさて、

そんな心を深くえぐる秀逸な文章に触れながら、最後にこのような所(もの)をご紹介致しましょう。

江戸初期に敷かれていた旧中山道小野町の街道筋にある日本酒の蔵元、その歴史は150年にも及ぶという

「小野酒造」さん。

こちらの日本酒の名前はその名も「夜明け前」

まさに日本の夜明け前、明治維新前夜の元治元年(1864年)に創業されたこちらの蔵元。

五代目のご当主が島崎藤村生誕100年の節目に際し、その島崎藤村の父島崎正樹と親交があったことも背景に、
「夜明け前」の名を使う事を正式に許可されたという、思い入れの詰まったこちらの日本酒は、
IWCリージョナルトロフィーを受賞するなど国際的な評価も非常に高く、
信州の飲むべき日本酒(辛口)のランキングでは1位となるほどの銘酒でございます。

決して甘く口当たりの良いことばかりでは済まない歴史という現実に思いを馳せながら、

キリっと辛口の銘酒を一献…。

今という夜明け前の世の中を生き抜いていく、そんなオトナな皆様へ是非お勧めしたい逸品でございます。

 

本日のブログは、小説は大好きですがお酒は苦手なお子様兵藤がお送り致しました。

(お酒を飲まない事で人生の半分を存しているらしい……こんなに幸せなのに?ですか?笑)

 

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