蓼科の今

藤沢川は堰堤(えんてい)の博物館

2020.11.25

こんにちは。本日のブログ担当の岩下です。今朝10時の気温は8℃、天候は晴れとなっております。


茅野市から国道152号の杖突峠を越えて高遠方面に下ると、藤沢川とその支流にたくさんの砂防施設が見えます。
さまざまな種類の構造物が並ぶ様は、まるで"堰堤の野外博物館(フィールドミュージアム)"のようです。

1.藤沢川砂防施設平面図.jpg
天竜川支流三峰川(みぶがわ)のさらに支流の藤沢川では、1961年(昭和36年)、1982・1983年(昭和57・58年)に、台風の影響で土砂災害や洪水による被害が発生しました。
そこで国土交通省は、1998年(平成10年)から2012年(平成24年)までの14年間に、54億円をかけて砂防施設を整備しました。

北片倉バス停に近い片倉大橋から、上流の守屋神社に近い古屋敷橋までの1kmの間、総面積24.5ヘクタールの土地に、堰堤工2基、堆積工5箇所、支流の堰堤工2基が設置されています。

冒頭の写真は、国道からもみじ湖へ越える林道日影入線を少し上った所から撮影したものです。
真ん中に見える穴の開いた堰堤は藤沢川砂防林1号ダム、その背後に見える双子の堰堤は、右側が水無沢砂防堰堤、左側が唐沢砂防堰堤です。また、右下の構造物及び広い場所は土石流堆積工です。

2.200403藤沢川砂防林1号ダム.JPG
藤沢川砂防林1号ダムは、メガネ型の風貌がチャーミングな大暗渠式砂防堰堤(スーパー暗渠式砂防堰堤)です。
堤高9.5m、堤長160mの長大な構造物で、2001年(平成13年)に完成しました。
土石流が発生したときには土砂をくい止め、普段は生態系や流砂系が保たれるように、水や土を下流に流すことができる形式になっています。

3.200403藤沢川砂防林2号堰堤.JPG
藤沢川砂防林2号堰堤は、2004年(平成16年)に最上流に設置された堰堤です。
堤高8.5m、堤長118mの透過型砂防堰堤で、中央部に鋼管の格子状構造物が設けられています。
自然の中で、その白さが際立っています。

4.200403土石流堆積工.JPG
土石流堆積工は、川の一部を広く、勾配を緩くして、土砂を堆積させる施設です。
拡幅部(土石流分散堆積地)の上流端と下流端に、砂防堰堤又は床固工(とこがためこう)が配置されます。

5.200501東ノ入沢砂防堰堤.JPG
片倉大橋に近い藤沢川左岸の支流(太陽光パネルの間の道の奥)には、東ノ入沢砂防堰堤があります。
堤高9m、堤長65mで、1998年(平成10年)に完成しました。
形式は従来型の不透過型砂防堰堤です。
上流側に土砂を堆積させ渓床の勾配を緩くするとともに、山脚を固定し山腹の崩壊を防止する機能や、渓床の縦侵食を防止する機能を持っています。

高遠には何度も足を運んでいますが、今までこれらの砂防施設はよく見ていませんでした。今回、ようやくその全貌を観察することができました。。
国道脇の所々に、車を停められる所がありますので、そこから眺められます。双眼鏡があると便利です。

なお、砂防施設にはフェンス等がなく転落の危険性がありますので、天端(てんば:頂部)には立ち入らないほうがいいでしょう。
また、この地域は野生の猿やイノシシが生息していますので、お出かけの際は十分ご注意ください。

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